家づくり工務店の品格

・・・ゴールデンウィークに嫁さんと藤沢にある住宅展示場繰りをしてみた・・・
積水ハウス、古川林業、へーベルハウス、住友林業、一条工務店、ダイワハウス、3時間くらい廻ってとてもくたびれた。
やはり私には馴染まない、素材の美しさや、職人達の暖かさが感じられない、帰りがけに湘南モールで偶然にもお客様に逢った。
ハウスメーカーから加賀妻工務店で建てて頂けた3人の小さなお子様を持つお客様だ。
私の勝手な思いだが、子供達には、今見て来た、美しく綺麗な展示場の家ではなく、床には節が有り、物をぶつければ傷もつく、柱や梁の杉や檜は年数で色も変わる。
そんな家で良かったと思った。
「妹尾さん、あの地震の後に大工さんの大友さんが様子を見に来てくれたんです、がたつくテーブルの脚を削ってもらっちゃた〜」
そんな会話はとっても嬉しい。
・・・来年4月には、山口大学大学院理工学研究科 感性デザイン工学専攻の高宮君が卒業し工務店で設計がしたい、熱い心を持って入社します。
また、頑張りやの倫子ちゃんも一級建築士を目指し試験を受けます。
若いということは素晴らしい。
『かけがえのない(若さ)を、それを自覚していなければ、豚に真珠、猫に小判であって等しい若さを自覚してこそ、初めて苦しみに耐え抜く勇気も、明日への活力も湧いてくる。』
            本田宗一郎は言っている。
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先日のセミナーでお話しをさせて頂いた事。
『工務店の品格』辞書には、品格とは、その人やその物に感じられる気高さ。品位とありました。
私は、『家づくりを楽しんで下さいと』必ず話をします。安心して任せ、楽しんで頂きたいと願っています。その為にも、私達造り手自身が価値観の合う仲間と楽しんで仕事をするという事は大事な事です。
スタッフや職人達がお客様と一緒に楽しんで家づくりが出来なければ、私たちから、お客様には家づくりを楽しんで下さい!とは絶対に言えません。
ちょく、ちょく現場に来ていただき、多くの職人にふれあっていただきたいと思っています。
みな暖かい良い人間です。
加賀妻工務店には棟梁システムがあります。
私は、家を造るという事は、お客様から設計を依頼され、施工を依頼され、家守りを依頼される事だと認識しています。
設計は外注の設計者であったり、施工も下請けの工務店だったりしてはいけないと思うし、独自性の追求も出来ないし、楽しくは無いだろうなと思います。
設計者はコーディネイトまでが仕事です。営業や現場監督では設計者の意図はなかなかくみとれません。
加賀妻工務店は自立した工務店です。設計も施工も外注には依存しないで、自社で設計をして自社で施工を続けています。
設計者と現場管理者と大工さんが社内にいて絶えず近い所でああでもない、こうでもない、と共同作業が出来る環境はとても楽しく、やりがいの有る仕事です、いつも私の廻りで、わいわい、がやがや、やっております。
このことは、私が安心して仕事を任せられ、代表として素直な気持ちで責任が取れる仕事にもなります。
棟梁システムを持つ事は、加賀妻工務店の家づくりの原点です。
8チームの組があります。
職人づくりが出来なければ、家づくりは難しいです。
現場大工が元請けとしての責任とプライドを持ち仕事をすることが加賀妻の家づくりには欠かせません。
お客様が安心して加賀妻工務店に任せていただける。
私の約束事の一つです。
それが工務店の存在価値であって注文建築を請け負う工務店の当り前の事と考えています。
(作業場も持たず、材料の置き場も持たない工務店も多くあります。変ですよね。)
地域の工務店の役割として、若い大工職人を育てながら、彼らの成長を見守る事は、私の子供たちの成長のように頼もしく嬉しいものです。
見習いスタート時の日当は3000円です。遊ぶお金はありません。
年期が明けで初めて現場を受け持たせる時は、とっても心配でしょっちゅう顔を出しますが、社長、心配しないで下さいよ、心配し過ぎ、などと煙たがられてしまいます。
自社で育った大工が真摯に誠実に家づくりを続けていくことが、私の一番の安心材料であり、
より良い住まいを生み出すと考えています。
大工さんたちには、二番目の監督の目を持てと伝えています。
(下職の態度、仕事をもしっかり見極めろと伝えています。)
親方に付き、毎日朝早くから夢中に頑張っている、大工見習いの若い職人達、素敵な若者です。
現在も4名の弟子たちが頑張っています。
親方に弟子を取らせるということは、人を育てる。
親方達の心の試練にもなりました。親方は歳をとったら、加賀妻のリフォーム工事を担当します。
新築されたお客様が10年後、20年後にまたお声を掛けて頂ければ、当時の親方、弟子がお世話になります。
これが加賀妻工務店のスタイルです、お客様も安心ですよね。
大工さんも安心して長く勤めてくれます。
私は弟子を育てられる棟梁を大棟梁と呼んでいます。
住宅を造る業者は数多くありますが、大工を育て、抱えている工務店は本当に少なくなってしまいました。・・・仕事が切れた時は、休んでくれとは言えないので、作業場の掃除や、私の家のリフームや事務所の改装です。
抱える苦労も多くあります。大変なのですが、大工さんたちも解ってくれています。
長くこの仕事をしてきて強く感じる事は、家づくりを楽しめない人+心が通わない人+仕事を大切にしない人との仕事は難しいです)
だから、工務店は小さくて、強い組織であれば良いと考えています。
棟数や規模の拡大は望んではいません。
企業が成長を目指すのは当然だと思いますが、目指すゴールは、売り上げや、規模ではなくお客様にどれだけ応援していただけるかだと考えます。
加賀妻工務店では、家づくりのすべての過程に『手』をかけています。
工務店の『手』というと大工などの職人の『手』をイメージするかもしれませんが、それだけでは現代に価値ある住まいを提供する事は出来ません。
設計者は設計段階からじっくりと『手』をかけ、住まい手の要望をきちんと聞き、必要な性能を担保し、それをまずは図面という形にします。
職人はその図面に表現されたものの本質を理解し、それを形にしていくためにしっかりと『手』をかけることが求められます。設計における『手』と、施工における『手』の両方が揃ったときに初めて住まいに求められる『間』がつくりだされることになってきます。
素敵な住まいづくりを続けていくと、家づくりが大好きな人間が自然と集まってきます。
職人の集団です。安定志向で大手企業に就職するのと違い、どこでも出来るようなお客様に合わせた家づくりをするのではなく、自分たちが求める独自性の家づくりを探求し、同じ物・同じ事を反復して、深めていき、確実に形にして行く、その仕事はとっても楽しく面白くやりがいのある、夢や希望が持てる仕事です。
無理やり予算に合わせるような仕事や、方向性の違う仕事や、追いかけてまで仕事を取るという事は苦手です。
コストで勝負するのではなく、そんな加賀妻工務店の家づくりに共感していただけ、応援していただけるお客様に巡り合えるように日々努力して行くというスタンスで仕事をしています。
注文住宅を建てるということは最高の贅沢だと思います。
オーダ-して何かを作るという事があまりなくなってきた時代において夢を描き、それを具体的な形にしていくという作業は、
金額の大小にかかわらず、とても贅沢で素敵な事だと思います。
これを楽しまない手はありません。
不思議な事ですが、楽しんで家づくりをした人の家を見たとき、そのことが、家から伝わってきて、すごく幸せな気持ちになります。ぜひ皆様にも実感していただければ幸いです。
『家づくり工務店の品質』辞書には、製品の内容のよしあしの程度とありました。
品と質ある。質の高い住まいを提供する事。
これが基本です。
この『質』とは、まずは、住まいの部材における『質』があります。
それはもちろん表面的なものではなくて
それぞれの部材において本質的に求められる『質』を指します。とくに私たちが造る、
木造住宅においては、『樹の質』によって住まい全体の『質』が決まってきます。
次に大切な『質』とは、住宅の性能です。
その中でも『構造』『空気質環境』『温熱環境』という3つの性能は、住まいの本質を決める重要な性能になります。
こうした『質』を十分に備えた住まいは、自ら『品質』を持つと考えます。
その為に、丁寧に材料を吟味し、住まいの性能については科学的視点を持って取り組み、設計段階のチェックから工事中のチェックに至るまで、品質管理が求められます。
たとえば、シックハウス問題においても、建築基準法を守っていれば十分かと言うと、(そうではない)と考えています。
確かに「マシ」にはなってきましたが、本来の意味で安らぐことができる空気質環境としての合格点は、こうした「マシ」のレベルではなく、さらに高いレベルの地点にあると思うのです。
「重要なのは材料の特性を知る事」だと考えています。
家を長持ちさせるには耐久性、耐震性、気密性、断熱性、利便性など多くの要素があります。物理的性能を重視することは、住宅の基本的条件なのだから当然のことなのですが、
その中で、家の耐久性については、単に時間的経過を考慮するだけで得ることは出来ないと思います。
どんな家を造れば大切に大事に長く使っていただけるのだろうかと考えています。
私なりの結論は、そこに住まう人が、自分の家に誇りと愛着を持って、末永く不満を抱かずに暮らせる環境を、私達とお客様が造りだせるか、どうかで決まってくるのではないかと考えています。
何が本質かを見極めようとする探求心が最も大切であって、短絡的に広さや設備機器や、お金の大小ではないと思います。
使う素材も複雑な加工材料は基本的に使用せず、自然に有る物を最低の加工で使う事ではないかと感じています。壊した時には、再利用ができる事や自然環境に負荷をかけずに、土に戻す事が出来る事や、燃やした時には有毒ガスを出さない事などは、とても重要な事だと考えています。
耐震性や温熱環境は確保しつつ、五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・臭覚)に心地よいと感じ取れる快適な家が、シンプルではあるが一番贅沢で快適な住まいだと実感しています。
お客様からは旦那様が早く帰って来るようになったとか、外食が減ったなどと言われるとうれしくなります。
住宅はそこに長く住む人の五感を刺激する物です。
家は小さくても十分に素敵に快適に暮らせます。
積極的に小さな家を造り、気持ち良く、家族仲良く暮らせたら本当に幸せだと思います。
愛着が持て自分によくなじんだ住まいは、末永く大切に大事にしてもらえます。
私たちも一生懸命造った家です。
永く大切にしていただきたいと願っています。
『現実的な話』今この住宅業界を見てみると、今の建築業界では一般的には、より良く創るよりも、より安く創る努力の方が勝っているように思えます。
工期短縮、価格競争、利益第一主義のなかで職人の存在が薄れてきています、
手間賃までが削られています。
自然素材で造る樹の家は、そこで働く職人が生き生きと時間を掛けて丁寧な仕事をする事が求められます。
日本の文化伝統は物づくりであったはずです。
住宅展示場を廻り、親切で感じの良い営業担当の営業手動で家づくりが進められています。
彼ら自身にも環境や健康への意識は低く。
建築知識も浅く、早くまとめてしまおうとします。
結果不満も多く、あれこれ追加工事になります。
家づくりに失敗したと言っている場合のほとんどがあせってしまったというのが原因でしょう全体のスケジュールが(敷地調査・基本設計から工事完成・引き渡しまでが)短期間でできるという思い込みがあるようです。
プレハブ住宅は80%を工場で造ってきてしまいます。
売る、買う、の世界であって、造る事からかけ離れた形になっています。
その与えられた、箱のなかで生活するのはいかがなものかな~と考えてしまいます。
ある木造メーカーでも30坪でも100坪でも大工工期は30日と聞いたことがあります。
大勢で一気に終わらせるそうです。
だから短期間で出来ると思い込んでしまうのです。
良く使われている、集成材のホワイトウッドなどは北欧フィンランドが産地です。
日本へ来るまでのウッドマイルズ(木材移動距離)はトラック100km+鉄道350km+船舶22570kmです。
もともとはパルプ材として入ってきたものを、安く柱として使用したのが始まりです。ホワイトウッドの産地北欧フィンランドなどにはシロアリはいません。
この材はシロアリの大好物です。その為にあの農薬漬けの薬を土壌に散布し土台や柱にしみこませています。5年保障としています。
5年間は薬の効果が落ちてはならないので、薬剤は農薬の300倍とも言われています。
日本の檜や杉は太古の時代から、白蟻には食べられないぞというDNAを備え持っています。
おにぎり3600個分、688kgの食糧が日本で食べ残され生ごみとなっています。
「国連世界食糧計画WFP」によれば、地球上で栄養不足や飢えに苦しんでいる人は8億5000万人以上、一方日本の食品廃棄物の年間発生量は、2169万トン、これは、2007年における世界の食糧援助総量の3.7倍になるそうです
ボルネオ島のオランウータン、マレー語でオランウータンを「森の人」というそうです、
世界自然保護基金によると、過去100年間にマレーシアとインドネシアで森林の80パーセントが消滅し、オランウータンは90パーセント減少、20後絶滅、2004年2月の朝日新聞、原生林、天然のままで人手の加えていない広範囲な森林体系を原生林と呼びます。しかしその80パーセントが消滅しています。
要因はいろいろありますが、世界規模での木材消費があります。
日本は世界で最近まで2位の木材輸入国でした。
日本の国土の66パーセントが森林です。
国土で言えば世界第2位の森林国なのに、なぜ輸入に頼るのでしょうか、日本の住宅をすべて国産材で造れば京都議定書も軽くクリアー出来るのに。
原生林に生活する人々は最貧民です。
現金を得る手段を持っていません。
彼らに一日一ドルを渡してブルドーザーを運転させ、根こそぎ伐採させてしまうからです。
人の手、人件費が掛かっていない原生林、それを伐採するしか現金収入を得られない人々、結局彼らは森を失い生活する場を失ってしまうのです。
先進国の為に、今でも同じような事が続いています。
・・・少しでも環境や健康などの事を知るということは家づくりの方向性も変わってきます。
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注文建築は業者決定から最低でも引き渡しまで1年かかると考えたていただきたいです。
本来住宅は買う物ではなく造る物です。設計施工型の工務店は、設計者がお客様とのコミュニュケ-ションを重ねて造りあげる、オーダ-品です。結構体力勝負になります。
限りある予算のなかで、いかに良い家を造るか絶えず考えます。ハウスメ-カ-やそれを真似た工務店が造る家は残念ながらより良く造る努力よりもより安く造る努力の方が勝っています。
職人を重要視しない家づくりでは、若い職人を育てるところはあまりありません。
工務店に余裕がないのも事実ですが、大手メ-カ-は見習いの大工など相手にしてくれません。
今現場で働く職人の、手間賃がどんどん下がっています。
1日2万円稼げた、手間賃が半分の1万円しかもらえない。これでは手間を掛けて良い仕事など出来ません。
時間をかけていたら家族は養えません。
欠陥住宅と良く聞きますが、私は手間賃抜き住宅と言っています。
職人が悪いのでは無く、業界が悪すぎます。
2010年度の第一生命保険相互会社が毎年行う小学生への、将来何になりたいかの、アンケ-トでは10年続けて、大工さんがベスト10に入っています。
日本の人口は減り続けます。
新築の着工棟数もどんどん減っていきます。
採算が取れなくなれば大手メ-カ-は市場から撤退していきます。その時になって気づくのでは遅いです。
現在の環境破壊と同じ事です。暖かい目で若い職人さんを見ていただきたいです。
(ずっと以前の住宅業界には御三家と呼ばれたハウスメーカーがありました。
殖産住宅・日本電建・太平住宅)現在ではほとんど見ることがありません。
ハウスメーカーの役割は終わったのでは無いかと思います。
大量生産を目指しユーザーはハウスメーカーのそろえた、画一的な仕様の建材しか選択できず、そのため個性のない無表情な住宅が日本の住宅として定着しました。
無表情なのは(有名人を起用してTVコマーシャルを流し)ユーザーを洗脳し、ブランドイメージを植え付けてきたからです。
業界では住宅展示場のことを、おとりハウスと呼んでいます。
へーベルハウスの屋上に風船の象がのっかっています。
いかにも強そうなイメージですね、
   お客様が事前に準備しておいていただきたい事。
基本的なことは事前にあるていどは勉強しておく、理解しておくということです。
1.要望を整理しておくという事
家族でじっくり話し合いをして、(自分たちはどんな家に暮らしたいのか)ということを整理していって下さい。
いろいろな情報があり混乱するかもしれません。
でも一つずつ自分なりに解決していけば、どこかのタイミングで(うん、こんな感じでいこう)となるはずです。
ポイントは(実現したい内容が整理出来ないままに家づくりを始めてしまう事です。)
2.家の大きさを考え直してみるという事
自然素材の樹の家は高い、国産材は高い、本当はこうした物を沢山使いたいけど、でも予算の事が有って、・・・こんな考えを持った人が沢山います。
リビングは18畳欲しい、子供部屋は6畳にクロ-ゼットも必要、寝室は10畳にウオ-クインクローゼット、お客さんが来た時の為に客間の和室8畳も欲しい、どこのモデルハウスに行ってもこうした事は常識とされています。
50坪、60坪の家が建ち並び、最新式の住宅設備を装備して、床暖房やエアコンが必ず付いています。
だからお客様はこの常識に従ってまず家の大きさを決める人が沢山います。
家の大きさと予算がまずありきです。
予算は2000万円で40坪の家を建てたい、坪単価は50万円でないと、建てられないと思い込んでいます。
私にすれば、家の大きさや、部屋の広さについて本当にちゃんと考えてみたの、本当に必要があるのと、言いたくなります。家の大きさに常識なんてありません。
お打ち合わせをしていると、大抵のお客様は、窓は大きくここにも、あそこにも付けたい、
どこでも新聞や本が読めるように照明器具もここにもあそこにも付けたい、こんな具合です。
窓を沢山付ければ落ち着かない家になるし、熱ロスにもなる、本や新聞は一定の場所で読めば良いと思うし、スタンドで十分だと思います。
少しくらいの不便は問題ありません。子供部屋は南側が絶対とか、子供は日中にはいません。北側の小さな部屋の方が集中でき勉強は出来ます。
子供部屋を充実さえてはいけません、私の子供達はリビングの狭いコーナーで勉強していました。
2人とも無事志望校へ進学しております。
いまだに夜遅くまで家族とリビングで過ごしています。リビングの充実は必要だと感じています。
3.基本的なことは事前にあるていど勉強しておくという事
夢を持つということは自分の人生のビジョンをしっかり持つ事ということだと思います。
家づくりも同じです。
シックハウスや断熱や気密や結露の事、基礎や通気の作り方、白蟻対策や設計や大工さんの事、現場管理の事、アフタ-メンテナンスの事、ある程度は自分たちで考え、答えを持っておいてください。
素人だからでは駄目です。
せっかく工務店へ話を聞きに来て下さっても、説明する方はどこのレベルから話せばよいのか?解らず、困ってしまう事が多々有ります。
お客様が私たちに質問をして、その説明を聞いて、その答えが、金太郎飴のごとくどこから切っても金太郎の顔が現れて(うん、そうだ やっぱりそうだ)の連呼が、沢山出来る事は、
良い作り手に巡り合う大事な事です。
共感が持てる造り手と巡り合えれば、細かな事にとらわれず、おおらかな気持でよりいっそう家づくりが楽しくなりますし、安心し信頼して楽しい家づくりが出来ます。
4.最後にちょっと我慢するという事
最後にちょっと我慢する。自然素材というものはいわゆる新建材に比べてプロにも扱いが難しく、住まい手も付き合っていくという姿勢が必要になります。
そもそも新建材がこれほど普及してきたのは、自然素材のちょっとした問題(床の隙間、傷、汚れ、漆喰や珪藻土のヒビや割れ)にクレームを言う人が沢山いたからです。
もし、新建材と同じような均一性、汚れや傷のつきにくさを求めたいなら、そういう人は初めから新建材の家にしておいた方が無難です。
もう一つ、ちょっと我慢に関して重要な事があります。
それは温度の快適性の事です。
いま温度の快適性をどんどん向上させるような流れになっています。
冬に寒すぎたり、夏に暑すぎたりするのは当然良くないのですが、(ちょっと我慢すれば大丈夫、という範囲であれば良いじゃないか。
という発想を持っておいてください、そうでないと変なところへ行きついてしまいます。
私は寒いときには、家の中でもダウンジャケットを着ます。
ちょっと我慢するということは言い換えれば(余裕を持つ)ということです。何事も余裕を持つということは大事な事です。
私なりの真面目な作り手の考えを話します。
1・(健康住宅や環境住宅)という言葉を使ってアピールしているところは沢山ありますが、
シックハウス問題や環境問題を知り真剣に取り組んでいる、造り手は「健康、環境」という、言葉については敏感です。
(健康住宅、環境住宅)なんて、軽々しく口には出しません。
シックハウス対策を施した住宅に住めば(健康)になるのではなく、(不健康になることを防ぐ)ということだと理解しています。「健康な住まいを提供している」と自負している作り手、もしくは「健康な住まいを提供したい」と考えている、作り手において、出来上がった家の、空気質(濃度)の結果を把握していないということは大きな問題です。
最低ホルムアルデヒド濃度は測定するべきです。
建築業界にいる人の環境に対する意識の差は大きいです。
うわべだけでブームに乗って(健康や環境)をキャッチフレーズにしているところと家づくりを始めるとものすごいストレスを感じてしまいます。
感性が合わないところはやめておくことです。
2.全体のことを説明しない業者はいかがなものか、何かを強くアピールしたい会社、自信のない話は避け通りたい会社は、家に求められる事の全体を説明せずに、アピールしたいところだけをガンガン強調します。
バランスが悪すぎます。
3.急がせるところはいかがなものか、どんなプロも早く契約したいと思うのは当然です。本当にお客様の事を考え、プロとしてプライドと責任感を持ったところであれば、その気持ちを抑えてじっくりやって行きましょうと言います。
しっかり打ち合わせ、時間をかけ、図面を書き追加工事もゼロを目指します。
3.見えないところを重視するところは信用できます。
お金のかけかたが違います。
見えなくなってしまうところにお金をかける事は避ける傾向にあります。
空気質環境や温熱環境や通気結露という非常に大事な性能は完成してからは見えなくなってしまいます。こうしたところを大切にするプロは、特に見えなくなるところについては丁寧に説明するでしょう。
構造見学会を開催しているところはこうした姿勢を持っています。
4.実際に使う建材を見せるところは信用できます。
いまの建材は見せかけの物がほとんどです。
表面はきれいだけど中は接着剤でいっぱい。
見かけは自然素材だけどまがいものというものが沢山でまわっています。
5.経験と科学のバランスがとれたところは信用できる。
環境や人に優しく、性能に大きな欠点を作らない家づくりをしているプロは、経験と科学とのバランス感覚に優れています。
温熱や空気は、努力や工夫した結果がはっきりしないので、真剣に取り組む業者は多くありません。
データー取りや測定取りは時間も長くかかり、面倒くさいので、おそらくほとんどの
作り手は「結果」を確認していないで、それをする前にたぶん大丈夫だろうと自信で結論を出してしまっている事が多いです。
必要最低限取り組むべきことは、断熱する意味を理解する。そのことは気密や結露を理解することにつながります。
Q値計算をしないところは温度に対して苦手な証拠です。
[Q値とは、熱損失係数、住宅の断熱性能を数値的に表したもの、数値が小さいほど断熱性能が高い事を表します。]
次世代省エネの住宅を造っても、南側や東側に大きな開口を取り、庇の出(太陽光角度)などを考慮しないと、日中に入り込んだ日射熱が家にこもり、せっかく夜になって外気温度が下がっても家の中の温度は下がりません。
一晩中エアコン頼りになってしまいます。
日射遮蔽も設計には重要です。夏場の太陽光の角度は高く、冬場は低いその辺の計算も設計では重要ポイントです。
6.私が好まない作り手、情熱に欠ける。
責任感が無い。
職人を大切にしない。
棟数を自慢する。
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今、興味があることは、夏場にエアコンなどは使用しないで、一日中外気温度より室温の方が低くなる家づくり、真冬には11時ころまで暖房器具に頼らない家、今ある程度までは、設計のなかで出来てきているのですが、それを一棟一棟データー取りして、検証していき、安易に設備機器に頼らず、建築のなかで、通気や素材や設計のなかで工夫しながら突き詰めて行きたいと思っております。
4年前より、自立循環型研究会に入り、全国から勉強熱心な工務店や設計者が集まった会のなかでも、各社がいろいろ試行錯誤しながら取り組んでいる発表などがありとても興味のある勉強会になっています。
住宅とは、基本的な性能を満たす設計力、安心して施工を任せられる技術力、それをミスなく施工できる施工力、末永くお付き合いの出来る経営力、家は小さくても、十分快適に暮らせます。短絡的に広さや、設備機器ではなく、「なにが本質か」を見極める探求心が大切だと思います。
材料は贅沢に使う、太い柱や梁見せ、節の少ない物を使い、壁は漆喰や珪藻土で仕上げる、
一つ一つを職人が丁寧に造り上げていく、
庭には草花や樹木を植え大切に育てながら春を待つ、五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・臭覚)に心地良いい、自然素材の家にはそんな魅力がある、シンプルなデザイン、シンプルな素材、それこそ『品と質と性能と家守り』を担保できる。
自然体で暮らすことができる。
思って、思って、思い込み、常識を疑い既成概念に固執しない、そして成功している姿を思い描く、他社と同じ取り組みは好まない、実現するためのプラスのシナリオを、そしてひたすら反復実行する。
お客様と一緒に楽しんで仕事をしたい。