家づくりの思想

基本的な性能を満たす設計力・安心して施工を任せられる技術力、手抜きやミスなく施工できる施工力・末長くお付き合いできる無借金の経営力。誠実に、真面目に、正直に、一生懸命に努めること。

注文建築を請け負う工務店は、設計を依頼され、施工を依頼され、家守りを依頼される事だと認識していなければならない。すべてに責任のとれる仕事をする。

家は小さくても十分快適に素敵に暮らせる。短絡的に広さや設備機器ではなく、「なにが本質か」を見極めようとする探究心が大切だと思う。太い柱、太い梁を見せ、壁は漆喰や珪藻土で仕上げる。一つ一つ職人が丁寧に造り上げていく。庭に草花や樹木を植え大切に育て春を待つ。

五感「視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触角」に心地いい。自然素材の樹の家にはそんな魅力がある。シンプルなデザイン、シンプルな性能、それでこそ「品と質/性能/家守り」を担保できる。安心して自然体で暮らすことができる。住まう人が誇りと愛着を持って、不平や不満を抱かず、安心して末永く暮らせる環境を造りだすことができる。

どこにでもできるような、お客様に合わせた家づくりではなく、設計者は、複雑さを乗り越えたところにあるシンプルさを追求していくこと。予算に合わせるための安易なコストダウンではなく、つくり手は現場を突き詰めると簡単になる鍛錬を積み、確実に当たり前にこなしていくことが、コストダウンにつながってゆく。

家づくりの型を繰り返し深めていき、確実にものにしていく事を大切にしてきました。そのために、自社で設計を行い、大工職人を育て、定期的なメンテナンスも行っています。

今の建築業界を見てみると、「より良い物をつくる」努力よりも、「より安く、早くつくる」努力の方が一般的に勝っているように思えます。その結果が、既製品の積み重ねであったり、工期短縮であったりしています。それでは、独自性の追求もできず、人も企業も成長していきません。ましてや、楽しい仕事ではないだろうな、と思います。つくり手である私たちが楽しんで家づくりができれば、お客様も安心して楽しい家づくりができると思います。

企業が成長を目指すのは当然のことだと思いますが、目指すゴールは売上や規模ではなく、お客様にどれだけ支持・応援していただけるかだと考えてきました。数多い建築業者の中から、お客様に選んでいただけるように、日々切磋琢磨する事が面白くて、楽しくて、夢や希望が持てる仕事だと実感しています。それは、商品販売とは違い「いかに売るか」ではなく「いかに良いものを造るか」と絶えず考えているからです。

一貫して自社設計・自社施工・アフターメンテナンスを行うことで、心と体に優しい住まいづくりを続ける、「地域オンリーワン企業」を目指しております。

昨今、健康や安全を売り物に耳触りの良い言葉でアピールし、住宅を売ることばかり優先している工務店も見受けられますが、その中には作業場もなく、職人も抱えていない会社がたくさんあることも実状です。

現場を統括する意味を持つ棟梁は、古くから日本の家をつくり、守る存在でした。地元の風土を知り尽くし、家を設計し、材料を吟味し、自ら木を刻む棟梁は、職人をも育ててきました。しかし近年、大量生産・大量消費化で薄っぺらな家づくりが蔓延し、「本来の家づくり」が忘れられ、「棟梁のシステム」が失われつつあります。それは同時に「住まいの文化」の衰退でもあるのです。

加賀妻工務店は、ここ湘南茅ヶ崎の地で、日本古来の「棟梁システム」を重んじ、価値のある住まいづくりを追求する地域主義工務店として家をつくり、守り続けます。それが「工務店」のあり方であり、責任であると考えるからです。

加賀妻では創業当時より、卓越した技術の自社大工・現在13名の職人を抱えています。工事受注後は決して下請けに出すことはありません。イ・ロ・ハ・ニ・ホ・ヘ・ト・チの8組の棟梁が、匠の技と匠の心で現場を受け持ちます。「私たち工務店は住宅の町医者である。」という考えのもとに、自分たちが建てた家は責任を持ってお付き合いをさせていただいております。

年間着工棟数は、無理な棟数を追い掛けることなく、自分たち(棟梁)がこなせる範囲と決めております。一昔前には、その家の何から何までをも面倒を見てくれるお出入りの大工さんが必ずいたものです。そこには、黙っていても心が通ずる人と人とのつながり、信頼がありました。「現場に来ることが楽しみでした、大工さんがいたからね。もう終わってしまって会えなくて寂しくなりますよ。」そんなことをお客様からよく言われます。

心の優しさ、心のおおらかさを無くしてしまうような家づくりはしたくないものです。私たちは、工務店に来てくださる「こだわり」を持ったお客様を大切に、末長くお付き合いをさせていただきたいと考えています。

創業50年、しっかり地域に根を張る生き方を選択し、大工になりたいと願う若者をいつまでも受け入れられる工務店でありたいと頑張り続けています。

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